TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup2023 Rd.7 FUJI SPEEDWAY
Qualifying #7/4th/2’00”141・#700/30th/2’01”395・#770/15th/2’00”593
参戦車両が新型のGR86とBRZへ移行して2年目となったことで、各チームのセッティングも煮詰まり、「TOYOTA GAZOO RacingGR86/BRZ Cup」は毎戦激しいバトルが繰り広げられる。今季も全7戦が全国のサーキットで開催され、いよいよ最終戦となる第7戦の富士スピードウェイ大会が11月25日-26日に実施された。
富士スピードウェイの最大の特徴は約1.5kmに及ぶメインストレートと、富士山の登山道をイメージしたテクニカルな区間で、コース前半は長いストレートや高速コーナーがメインの高速レイアウト、コース後半はつづら折りのコーナーが続くテクニカルレイアウトになっている。そのためマシンのセットアップが難しいサーキットだが、 T by Two CABANA Racingは過去のレースで優勝経験もあり相性は悪くないと考えている。
今シーズンはエースドライバーの堤優威選手が、ポイントスタンディングでトップから5ポイント差の2位につけて最終戦を迎えた。700号車をドライブする地頭所光選手は開幕戦でポイントを獲得したものの、その後は流れをつかめず苦しいシーズンとなっている。前戦では復調の兆しが見えたので、最終戦は是が非でもポイントを獲得したいところだ。770号車の山田遼選手は今季がプロフェッショナルシリーズ初参戦となり、第6戦終了時点では入賞はないが、上位陣との差は着実に縮まっているため今季の最終レースで実力を出し切りたい。
CABANA Racing
CABANA Racing
チームは11月23日(木)から走行を開始。午前中のスポーツ走行枠と午後からはGR86/BRZ Cupの専用走行枠が3本設定されていたため、各車は持ち込みの状態を確認すると、セットアップの調整などを入念に行なった。翌日の24日(金)は、昼過ぎからタイム計測のある専有走行が設けられ、セッションが始まると堤選手と山田選手がコースインし、地頭所選手は2人とタイミングをずらして動き出す。各ドライバーがピットに戻ってくると、堤選手と地頭所選手はタイヤを交換し2度目のアタックを実施。最終的には地頭所選手がトップと0.134秒差の2分01秒189を記録し2番手、堤選手は2分01秒299をマークし7番手、山田選手は2分01秒660で20番手となった。山田選手は僅かに遅れをとったが、1回のみのアタックだったため伸び代はあった。
25日(土)は前日までとは打って変わって、雲に覆われて身震いするような寒さの中での予選となった。専有走行の時とは路面温度が大きく異なるため、セッティングやタイヤのウォームアップを考え、いかに状況にアジャストできるかがカギとなった。プロフェッショナルシリーズの予選は、予定通り12時10分から15分間で競われた。予選開始直後に約半数のドライバーがコースインしたが、3選手は前半組のアタックが終わったタイミングでコースイン。路面温度が低かったので、多くのドライバーが2周連続でアタックを行なう中、堤選手は計測1周目に2分00秒141を記録し一時2番手につけると、1周のみのアタックでピットに戻る。最後にアタックしたドライバーがタイムを更新したが、4番手グリッドを獲得。前日の専有走行で2番手タイムを記録し期待が掛けられた地頭所選手は、セッション終盤にアタックし2分00秒321を記録し9番手となった。しかし、最終コーナーでの走路外走行を取られてしまい該当周回のタイム抹消。結果的に2分01秒395のタイムで30番手からのスタートとなった。山田選手は、堤選手同様に計測1周目からアタックし2分00秒593をマーク。続けて2アタック目に入ったがタイムを更新することができず、計測1周目のタイムで15番手となった。
CABANA Racing
Final #7/25nd/41’03”141・#700/16th/40’50”481・#770/32th/41’11”578
11月26日(日)は太陽が見えているがこの時期らしい寒さの中、GR86/BRZ Cupプロフェッショナルシリーズ 第7戦の決勝レースが周回数10周で行なわれた。10時45分からスタート進行が始まると多くの関係者や観客がグリッド上に溢れ、トップカテゴリーにも負けない賑やかさとなった。
予定通り11時00分に10周の決勝レースがスタート。順調な蹴り出しでスタートした堤選手は、直後の1コーナーでポールポジションの#80伊藤選手をオーバーテイクしようと試みるが、両ドライバーの右リアタイヤと左フロントバンパーが接触しスピンさせてしまう。堤選手は大きな影響もなく2番手に浮上するが、この接触により1コーナーで複数台が絡むアクシデントが発生。そのままセーフティーカーが導入される。しかし、クラッシュした車両からオイルが漏れたために、2周目にレースは赤旗で競技中断となった。約25分間の中断を挟みレースが再開されると、2番手を走行していた堤選手に対してドライブスルーペナルティが課される。リスタート後の周にはファステストラップを記録してトップに迫るが、残念ながら5周目終了時にペナルティを消化。コースに復帰すると29番手までポジションを下げていたが、そこから1周1台のペースで追い上げていき最後は25位でレースを終えた。
30番手からスタートした地頭所選手は、1コーナーで発生したアクシデントを上手く回避すると、一気に19位までポジションアップ。レース再開となった4周目に1ポジション上げると、さらに前のドライバーにプレッシャーをかけていく。パッシングの機会を伺うものの膠着状態が続き、ファイナルラップまで順位を上げられない。それでも最終周に一矢報いて16位でチェッカーを受けた。
混戦になりやすい中団の15番グリッドからスタートした山田選手は、1コーナーで発生したアクシデントの影響を受けてしまい、ほぼ最後尾の36番手までポジションを下げてしまう。左フロントにダメージがありつつも、ペース良く周回を重ねていき7周目に1ポジション、8周目には2ポジションと着実に順位を上げていく。さらに9周目に1つ順位を上げて32位でゴールした。
今シーズンの全レースが終了し、最終戦でシリーズチャンピオンを目指した堤選手は2年連続でシリーズランキング2位という結果に終わった。また地頭所選手は開幕戦以来の、山田選手は初のポイント獲得を目指したもののトップ10圏内でのフィニッシュは叶わなかった。今季も3台というGR86/BRZ Cupでは存在感のあるチーム体制で戦えたことは、多くのご支援のお陰と感謝申し上げ、来季での雪辱を誓います。
COMMENTS
Team Chairman/Director
安藤宏チーム代表兼監督
シーズン最終戦は3台ともに走り出しから良い雰囲気でレースウィークが進みました。専有走行では地頭所選手が2番手となり堤選手もチャンピオンに向けてセットアップが決まっていました。予選は堤選手が4番手となり、チャンピオンへ向けての条件を着実に詰めたと思っています。決勝レースは1コーナーでのアクシデントによってチャンピオンを逃しましたが、ライン取りの運と不運がありました。速さがなかった訳ではないので余計に悔しい内容です。地頭所選手は、予選での走路外走行によって後方からのスタートとなりましたが、ペースが良くしっかりと追い上げて実力を見せてくれました。山田選手はアクシデントで後方になりましたが、予選までの走りは今季一番だったと感じています。チャンピオンを逃した敗因は色々あるのでしっかりと反省し、来季も情熱と執念で頂点を目指していきます。今シーズンも多大なご支援と応援をいただき感謝いたします。
Driver
堤 優威選手
事前のテストから調子良く、23日(木)の走り始めも同じ感覚で走れました。チーム全体としても好調さを示すことができ、最終戦になりましたがチーム力の向上を感じました。専有走行は7位でしたが、トップと僅差で予選を迎えました。予選はタイヤのウォームアップが難しい状態でしたが、ワンアタックのみで4位となりました。チャンピオンを掛けた決勝レースでしたが、ポイント獲得よりも優勝が狙えたのでトップを目指して走りました。1コーナーは、突っ込みすぎた感覚ではないのですが接触してしまい、結果としてペナルティを受けてしまいました。チャンピオンが目前だっただけに、応援いただいた皆さまには申し訳ありませんでした。来シーズンこそは、取りそこねたシリーズチャンピオンを目指します。
Driver
地頭所 光選手
マシンのメンテナンスによって、今戦は見違えるような仕上がりとなりました。走り出しから流れが良く、専有走行では過去最高の2番手をマークし、予選ではポールポジションを獲るつもりで走りました。後悔はないのですが、少し攻めすぎたかもしれません。決勝レースはシミュレーション通りの展開で、1周目にごぼう抜きができました。リザルトとしては残りませんでしたが、多く人が応援してくれる中で多少の恩返しはできたと思います。今シーズンは不慮の接触で流れを断ち切ってしまったことや、自分のミスもありました。気付くことも多く収穫はありましたが、結果を残せず悔しさがあります。
Driver
山田 遼選手
木曜日の練習走行から翌日の専有走行までの流れやマシンの状況は、今季でもっとも良かったと思います。予選はコンディションとの合わせ込みが難しくタイムは伸びませんでしたが、トップから0.5秒差とこれまでよりもギャップは縮まりました。決勝レースは上位との差が少なかったので、ポイント圏内に入るチャンスがあると思っていました。しかし、1コーナーのアクシデントに巻き込まれて後方に沈んでしまいました。今季は初めてプロフェッショナルシリーズに挑んだのですが、経験値のなさが露呈することもあり結果を残すことができませんでした。多くのスポンサー様に支援してもらっていただけに悔しい内容です。この経験を活かして来年以降に繋げていきたいです。
Chief Enginner
山崎登チーフエンジニア
堤選手はチャンピオンを狙って走った週末でしたが、ペナルティを受けて悔しい結果でした。やはりシリーズは、1ポイントずつの積み重ねが大事で、取りこぼしができない厳しいカテゴリーです。実力はトップクラスだと思っているので、来季こそはチャンピオンを狙いたいです。地頭所選手は速さを見せられましたが、予選では行きすぎてしまい後方からのスタートになりました。ただ攻めた結果なのでしょうがないと思います。シーズンを通すと運に見放されていることが多かったですが、気持ちの強さやポテンシャルは感じています。山田選手は初参戦で厳しいレースが多かったですが、勉強になったはずです。それでも最終戦は、ポイント圏内が見えるところまで来たので、これからに期待したいです。