TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup2023 Rd.1 SUGO
Qualifying #7/2nd/1’35”462・#700/13th/1’36”045・#770/20th/1’36”357
昨シーズンからマシンを新型のGR86(ZN8)とSUBARU BRZ(ZD8)に移行して競われている「TOYOTA GAZOO RacingGR86/BRZ Cup」。2年目となる今季は5月にスポーツランドSUGOで開幕し、その後は11月まで1ヶ月に1回の大会が予定されており、全7戦のシリーズで争われる。
前身となる86/BRZ Raceの発足当初から参戦を続けてきたCABANA Racingは、2018年より堤優威選手を起用し激戦のプロフェッショナルシリーズを主戦場としてきた。堤選手は86/BRZ Raceでの活躍を経て、現在ではSUPER GTで勝利を重ねるプロドライバーとなり、チームの目的のひとつでもある「グラスルーツカテゴリーでの育成」を体現している。
今季はこの育成を意識したチーム体制とし、GR86/BRZ Cup初年度と同様の3台で2023年シーズンを戦う。エースドライバーの堤選手は7号車を駆り、700号車には昨シーズンからプロフェッショナルシリーズを戦っている地頭所光選手がチームを移籍しての参戦。770号車にはポルシェ・カレラカップ・ジャパンなどで活躍してきた山田遼選手を起用する。この3名、3台体制でエントリーするにあたって、今季も多くのスポンサー様や協賛メーカー様にご支援をいただき参戦が実現している。
昨シーズンはGR86/BRZ Cupの初年度ながらも、堤選手が6戦中2勝を挙げてシリーズランキング2位とチームとして過去最高の成績を収めた。経験豊かな若手ドライバーを揃えた今季は、昨年を上回る成績を挙げるためにチームが一丸となりオフシーズンから準備を進めてきた。
2023年シーズンの開幕戦となったのは宮城県のスポーツランドSUGOで、5月12日(金)に専有走行、13日(土)に予選、14日(日)に13周の決勝レースが実施された。走り始めとなった12日は日差しがあるものの。5月としては風が冷たく上着が必要な天候となる。3台はそれぞれのメニューで走行を始め、9時からスタートした1本目のスポーツ走行では堤選手が1分35秒546で全体トップタイム、地頭所選手が1分36秒072で6番手、ユーズドタイヤで走行した山田選手は19番手となった。午後には専有走行枠が設けられていて、3台は予選を想定したシミュレーションを行う。結果は、堤選手が3番手、山田選手が15番手、セットアップの変更が裏目に出てしまった地頭所選手は17番手となった。
CABANA Racing
CABANA Racing
予選日となった13日は曇り空に覆われたが、雨は降ることなくドライコンディションで競われた。13時20分から始まった予選はコースオープンとともに3台のマシンが並んで走り始めた。堤選手はセクター2で全体ベストタイムをマークすると、1分35秒462をマークしてタイム掲示モニターのトップに表示される。地頭所選手は悩んでいたセクター1でタイムをロスしてしまうが、それ以外のセクターでは堤選手に迫るタイムで1分36秒045。堤選手と地頭所選手に続いた山田選手は、攻めきれないところもあったといいトップタイムは1分36秒357だった。15分間の予選の序盤は、堤選手のタイムを更新するマシンが現われなかったが、中盤に♯293岡本大地選手が堤選手をわずか0.025秒上回る1分35秒437をマークした。結果として、堤選手は2番手、地頭所選手は13番手、山田選手は20番手から決勝レースをスタートすることとなった。
CABANA Racing
Final #7/2nd/21’13”653・#700/9th/21’29”893・#770/27th/21’51”432
予選日から一夜が明けた5月14日(日)にGR86/BRZ Cupプロフェッショナルシリーズの第1戦決勝レースは実地された。明け方に降雨があったため一部の路面が濡れていたが、併催カテゴリーの予選や決勝レースが行われていくごとに乾いていき、10時45分から始まったスタート進行の時点では完全なドライコンディションとなる。
フロントローにマシンを並べた堤選手はレース前に1周目が勝負と語っていたが、スタート直後の加速が鈍り1、2コーナーで3番手スタートの#504冨林勇佑とサイドバイサイドとなり、3コーナーまでに抜かれてしまう。しかし、続くヘアピンで冨林選手のイン側にマシンをねじ込んで2番手に復帰する。この2番手争いの間にポールポジションスタートの岡本選手がギャップを作り、1周目のコントロールラインを通過したときには堤選手と岡本選手の差は1秒となっていた。2周目には1分36秒754の自己ベストタイムを記録するが、トップを走る岡本選手との差は拡がってしまう。堤選手の後続はペースが上がらないマシンを先頭とした団子状態となったため、迫られることなく単独走行となる。中盤以降もペースを保って岡本選手を追ったが差が縮まることはなく、13周目に2位でチェッカーを受けた。
13番手からスタートした地頭所選手は、序盤の混乱を切り抜けてポジションをキープする。3周目には自己ベストタイムの1分37秒366をマークして1台、4周目にも1台をパスしてポイント圏内まであと1台となる11番手まで浮上。勢いにのる地頭所選手は5周目にトップ10内に入ると、7番手争いの集団に追いつく。ポイント圏内の熾烈な争いのなかでもライバル勢よりマシンの状態は良く、先行する集団にプレッシャーを掛け続ける。そして、11周目に1台をパスして9番手となり、13周目に9位でゴール。結果として4ポジションアップの9位で2ポイントを獲得した。
GR86/BRZ Cupの初戦となった山田選手は、オープニングラップで1つポジションを上げる。3周目には混戦のなかで自己ベストタイムの1分37秒796をマークし、テールトゥノーズで先行するマシンを追う。5周目にはポジションを下げてきたマシンを抜いて18番手となるがラップタイムが上がらず、終盤にはミッションの不調に見舞われてしまう。最後の2周は症状がひどくなったためスロー走行となり、13周目に27位でチェッカーを受けた。
今季は実力ある若手ドライバーを揃えてプロフェッショナルシリーズを戦うこととなったCABANA Racingは、開幕戦から堤選手が表彰台に登り、地頭所選手もポイントを獲得した。開幕戦まではチーム内でのテスト走行のみだったため、実戦でライバル勢と走ることによりマシン側とドライバー側のそれぞれの課題も見つかった。6月11日に大分県のオートポリスで開催される第2戦までに課題を解決し、しっかりと準備を進めていきたい。
COMMENTS
Team Chairman/Director
安藤宏チーム代表兼監督
今季も多くのスポンサー様や協賛メーカー様の支援を受けることによって、3台体制でGR86/BRZ Cupに参戦することができました。関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。開幕戦はチームが得意としている菅生で、堤選手は専有走行、予選ともに好調で期待が持てる決勝レースでした。スタートは出遅れてしまいましたが、すぐにポジションを挽回し2位になったことは評価でき、目標としているポイントの積み重ねもできました。今季からチームに加入した地頭所選手はポジション争いが厳しい中盤でのレース展開となりましたが、しっかりとポジションを上げて入賞できたことは良かったです。ただ、攻防などのレースの組立にはまだ課題があり、見直す必要があります。GR86/BRZ Cupの初戦となった山田選手はテストでは速さを見せていましたが、気負いもあったようで望む結果とはなりませんでした。三者三様のレースでしたが、次戦までに課題をクリアできるように準備を進めていきます。
Driver
堤 優威選手
GR86/BRZ Cupでは昨シーズンの後半から好調を維持していて、今季の開幕戦が得意のSUGOということもあり好成績を狙っていました。装着するブリヂストンのRE-09Dやアドヴィックスのブレーキパッドなど使用するパーツとマシンのセットアップも決まっていて専有走行からトップが狙える状態でした。予選はチームとともにベストを尽くしましたが、わずか0.025秒差でポールポジションを逃してしまいました。決勝レースは優勝マシンとラップタイムに差があり、ロングランに課題が見えました。優勝できなかったことは残念ですが、シリーズを考えると開幕戦から2位に入れて良い結果だと思います。
Driver
地頭所 光選手
開幕戦はテスト走行ができるのが金曜日だけだったのですが、走り始めからフィーリングは良く、最初の走行枠が6番手でした。直後の専有走行では試したいセットアップがあったのですが、思ったほどの効果がなく17番となりました。予選はタイヤの温まりからアタック周のセクター1が課題だと考えていたのですが、そこでオーバーステアが発生しタイムを失いました。それでも13番手だったので、決勝レースは入賞を狙って走りました。決勝レースはペースが良く先行しているマシンに追いついたのですが、無理に仕掛けてしまうこともあり反省しています。開幕でポイントを取れたことは良かったので、次はクリーンなレースを心掛けます。
Driver
山田 遼選手
事前にSUGOでテストをさせてもらったことや他のカテゴリーでのレース経験もあるので、良い印象で初戦を迎えることができました。ただ、レースウィークに入ると意識はないのですが力が入っていたようで、操作が雑になっていたのかもしれません。そのため専有走行と予選ともに持っているパフォーマンスを発揮することができませんでした。決勝レースの序盤はポジションも上げられましたが、想像以上に厳しい順位争いで、もっとギリギリを攻めないと結果が出ないことも分かりました。開幕戦で経験したことや課題をしっかりと考え、2戦目から結果を残せるようにしていきます。
Chief Enginner
山崎登チーフエンジニア
今季も多方面からの支援によってGR86/BRZ Cupを戦うことができ感謝申し上げます。3台ともに事前にテスト走行をさせてもらい、ある程度の方向性が決まった状態でマシンを持ち込めたのは良かったです。堤選手は金曜日のテスト走行から手応えがあり勝てるチャンスがあると思っていました。結果的には予選と決勝レースともに2位でしたが、開幕戦からパフォーマンスを発揮できたことは良かったです。地頭所選手は昨年からプロクラスで戦っていたので安定した走行で、運転のスタイルも決まっています。結果としてポイントを持ち帰ることができ、想像していたリザルトとなりました。山田選手は初参戦ということで少し気負っていたのかもしれません。テストではライバル勢に負けていないところもあるので、次戦に期待したいです。